虚偽性障害(きょぎせいしょうがい)は、病状などについて虚偽を並べ立てる精神疾患の一種である。過去には詐病とされていたが、近来治療の対象とみなされるようになった。病状には以下のような特徴がある。
- 不要な薬を飲むなどして病気の症状を意図的に捏造する
- 詐病(刑罰の軽減や保険金をもらうのが目的)と違い、経済利得、法的責任の回避などの動機でない
- 病人として医師や看護師に大切にされるという、病気利得を得ることが目的である
DSM-IVの医学分類では、心理的症状が優勢な虚偽性障害と身体的症状が優勢な虚偽性障害に二分される。
「心理的徴候と症状が優勢なもの」(DSM-IV:300.16)
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- あらゆる同情をひくことができる精神病でおこりうる。精神疾患を疑わせる症状の意図的産出若しくは偽装をする。
「身体的徴候と症状が優勢なもの」(DSM-IV:300.19)
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- 腫瘍、なかなか治らない傷、痛み、低血糖、貧血、出血、けいれん、めまい、失神、嘔吐、下痢、原因不明の発熱などの症状を訴える事が多い。身体的症状が優勢な虚偽性障害の内、特に重症で慢性のものをミュンヒハウゼン症候群と呼ぶ。
「心理的および身体的徴候と症状を併せ持つもの」(DSM-IV:300.19)
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- 心理的、身体的双方共に症状を訴えるがどちらが優勢か区別できないものである。分類上は、「身体的徴候と症状が優勢なもの」と同じに扱われる。
精神関係の相談に応じた患者の約1%が、虚偽性障害と診断される。高度医療を要する医療機関における有病率は、更に高くなると言われている。患者の比率は男性より女性が多いが、慢性型のミュンヒハウゼン症候群は、男性に多いと言われている。
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[編集] 詐症の手口
この障害の人は、急性の身体症状を訴え、病院を訪れては応急処置や検査を受ける。病気を装う手口として、最も有名なものには発熱がある。監視者の目を盗んで体温計を擦り摩擦熱で発熱を訴えるといった方法が使われる。
他には、砂糖を尿に混ぜ糖尿病を装う、卵白を尿に混ぜて腎臓病を装う等、繰り返し同じ箇所を自傷してなかなか治らない傷を作るなど、様々な方法を使って入院しようとする。
また、心理的症状が優勢なケースの場合、意図的に大雑把や間違った答えを行ったり、精神疾患の症状を意図的に作り出すために、精神に作用する物質・薬などを利用する場合がある。
この障害の持ち主は、自分の病気の遍歴を劇的に語るが、詳細に問われるとその中身が急に曖昧で、一貫性が無くなる。また、病気に関してきわめて聞き手の興味を持たせる話をすることが多い。
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一般的に医学用語や病院に関する知識が豊富であり、これらの用語を駆使して嘘の病状を訴える空想虚言癖を持つ事が多い。最初に訴えた症状が陰性だと分かると新たな訴えを始め、虚偽症状を作り出す。また病院によって、症状を否定・虚偽だと通告されると、即座に退院し、別の病院へ放浪したりすることもある。
この症状をもつ人の根本的な動機は、被虐嗜好や幼児期の満たされなかった愛情を満たすことであり、そのため、一般の人が避ける手術などを世話をしてもらえるという理由で、積極的に受けたがる。
しかし、嘘はいつまでも通用せず、矛盾した検査結果などで作為的な身体症状である事が暴露される。反応は、多くの場合逃げ出す事で、他の病院で新たな身体症状を作り上げて入院するといったことを繰り返す。医者は、治療の努力を裏切られた事から怒りをもつ事が多い。身体症状領域だけでなく、精神病領域でも約0.7%の虚偽性障害の人がいる。
この障害では、本人だけでなく子供などを利用する場合があり、そのときも騙すための手口は同じである。騙すための手段や、不必要な手術を経ることによって、実際に子供がダメージを負う事が多く、死に至る場合もある。母親と引き離すことによって"病状"は回復する。これは『代理ミュンヒハウゼン症候群』と呼ばれる。
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